人は仕事で磨かれる

人は仕事で磨かれる (文春文庫)

人は仕事で磨かれる (文春文庫)

本書を読んでの感想ですが、まず「仕事に対する気持ちが変わった」ということです。
筆者の考え方が分かりやすく一貫性があり、心に伝わってくるものがあります。
現代の経営者の本としては最も一般に感覚が近いものとなっているのではないでしょうか。
本書は二部構成となっており、前半は社長時代のエピソード、後半は生い立ちを中心に書かれています。


特に印象に残ったのは、「仕事のしすぎで体を壊すことはない」と言い切るところ。
土日も休まず働いたけれども、体を壊すことはなかったという本人の体験談に裏打ちされた言葉は重い。
体を壊すのは、プライベートでの不節制に起因すると喝破されておりました。


粘り強い努力と、言行一致の誠実さ。
これに限らず様々な成功者の本をも考慮すると、この2つは社会で成功することにおいて重要な要素なのであろう。
是非身に付けたい。


全般的にははっきりした物言いが印象的ないい本だと思うが、自伝的な部分が却って裏にある強固な自信を感じさせるが、まあ、社長になるには、これ位の人の方がいいのであろう。
やはりビジネス経験に関する部分には、経験に裏打ちされた白眉とも言える記述がある。
・ビジネスは、誠実さと言行一致が重要 ・相場を経験させろ 現在はヘッジをしているが、経営幹部の要請という観点から見ると、情報を集めて決断するという能力が鍛えられる。


内容をみると、働くとはどういうことか、といった若者へのメッセージに近いものがある一方で、コーポレートガバナンス等経営に関するものもあるため、社会人やその予備軍等幅広い層に参考になる。
特に各講演の中には、核となる言葉があって、それが心に強く響く印象を持った。
こうした人の心に響く言葉を使うことができるのは、企業のトップとしての実績と自信があるからに違いない。
氏は揺るぎ無い信念を持ちつつも、新しいものは積極的に採りいれていくといった現代人に最も求められる要素を有した人物であるため、ぜひお薦めします。