ジャック・ウェルチ わが経営

ジャック・ウェルチ わが経営(上) (日経ビジネス人文庫)

ジャック・ウェルチ わが経営(上) (日経ビジネス人文庫)

アメリカのゼネラル・エレクトリック社は、航空機エンジンから、発電機、プラスチック、医療機器、金融サービスに至るまで信じられないほど多岐にわたり事業を行っているジャック・ウェルチは、このGE社のトップに上り詰め、様々な改革をほどこし、莫大な利益を得、たくさんの人を育てた限られた時間の中で、気が遠くなるような規模の企業を経営するとはどういうことか..この本には、その秘密が記されている上巻は、会長レースに勝ち残り、事業の統廃合や新しい人材育成手法確立など火の玉のように、次々と改革を打つところまで有名な逸話や、他の会社にも大きな影響を与えた経営手法が いくつも載っている「飛行機面接」 会長になるための選抜面接 面接官である現会長と、面接者であるジャックが一緒に乗った飛行機 その飛行機が墜落し、2人とも死ぬと仮定する その場合、「誰が会社を経営するのにふさわしいか」と聞く面接「ナンバーワン・ナンバーツー戦略」 その市場で、自社の事業がナンバーワンかナンバーツーでなければ 「再建か、売却か、閉鎖する」戦略 この戦略は、ドラッカーが投げかけた以下の2つの質問がきっかけで発想した 「まだ、その事業に経験がないと仮定して、これから改めて新規参入するつもりか」 上記の答えがYESなら 「その事業に対してどのように取り組むつもりなのか」上級経営者にこそ この1冊!


ウェルチのすべてが会社だったことを反映して回顧録なのですが経営に役立つヒントが色々あります。
本田宗一郎のような気配りは無いものの、激しいまでの闘争心と多くの間違いを認める冷静さを感じられるのはさすがに上り詰めた人の貫禄を感じます。
事業に集中することも大切ですがそれ以上に大切なのは人を適切に扱うこと、単に甘やかせるだけではなく人に対しても集中と選択を行っていくことが肝要との意識がとても印象的に残りました。


そして非常に楽天的。
ところどころで “あれは失敗だった” “有益なアドバイスが無かったら今頃・・” と振り返るくだりがありますが、それこそがこの「わが経営」の真骨頂でしょう。
たとえば、あの有名な 戦略について、ある軍士官から「対象になるマーケットを小さく定義して、シェアを大きく見せようとしてないか?」と問いかけられて、彼自身が考えを改め、社内にもパラダイム転換を訴えかけた件。




何かを成し遂げた人間が語る言葉には耳を傾けるに値する何かが必ずある。
本書を通して彼の経営手法や経営哲学を学ぶ、という読み方ももちろん正統的なアプローチだろう。
が、生涯をGEに捧げた一人のビジネスマンの物語として読むのも決して悪くない。
ビジネスマンならずとも、一読の価値はある。