リスク〈上〉―神々への反逆

リスク〈上〉―神々への反逆 (日経ビジネス人文庫)

リスク〈上〉―神々への反逆 (日経ビジネス人文庫)

わかりやすいし、面白い。
統計学の発展史として私は読みました。
投資に限定するのはもったいないと思います。
統計学の教科書としても、最高レベルだと思います。


ケリー基準についての記述が面白い。
セント・ペテルスブルグのパラドックスは知っておくと為になりそうです。


原題である「Against the Gods」の通り、やはり神による運命論から呪縛はいかに強大だったかが窺い知れます。
残念なのは上下の区切りが中途半端な点。
文庫本化に際して上下巻を頁数的に均一にしようとしたのでしょうが、どうせ上巻の方が売上大きいのだろうし、ちょっとは値段高くしてもいいから、「1700-1900年 限りなき計測」をきっちり上巻に収めて欲しかったです。


そこで1900年以降を読み進めるには、次のような対立軸を念頭におかれるとよいのでは。
それは、未来のことは計算可能だという側と、計算不可能だという側の対立軸。
数学を駆使することによって未来のことは予測できるとする人物の代表格は、フォン・ノイマン、モルゲンシュテルンなど。


単行本が出版された1998年にすぐに買って読んだ記憶があるが、歴史書だという程度の感想だった気がする。
それから多少金融工学リスク管理に携わったので多少私自身も進歩したのか、今回この本を読んで実に役立ったことか・・・私に勧めてくれた人に感謝したい。