経営は十年にして成らず
- 作者: 三品和広
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2005/11/01
- メディア: 単行本
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編者の基本構想と、キヤノンのケースに感動を覚えた。
キヤノンといえば、消耗品から収益を上げるビジネスモデルが有名だが、このようなモデルは一朝一夕にできあがるものではなく、長い間培ってきた資源があってのものだとわかった。
とくに、同社の場合、複数の経営者がマラソンを走りぬいた点が興味深い。
特に編者自らが記している第5章GEではジャックウェルチの偉業がなぜ達成されたのか、また、GEのすごさがどこにあるのかなどの論点が切れ味鋭く描き出されています。
この切れ味の鋭さは他の多くのGE解説書にはありません。
「経営は十年にして成らず」との著者の主張はそのまま多くの日本企業に対する警鐘に繋がるものでしょう。
本書では「長期政権」の好事例がいくつか紹介されていますが、やはり長期政権自体が全て善ではなく、経営陣の資質そのものやそれを見極めるガバナンスの体制が整えられて初めてよい方向に機能するのではないかと思います。
ただ少なくとも、四半期の業績で株価が乱高下したり、長期保有を前提としないファンドが突如として現れて株主配分を求めるといった最近の短期利益志向への警鐘としては、同感だと思う部分があります。
・本書も学ぶところが多々ありました。
・印象深いポイントは -DELLの戦略 一般の戦略書で語られている表面的な戦略は”もどき”であって 戦略ではないと。
また創業者すら言語化できていないと。
「そうか、だから駄目なのか」と何度も深くうなずけた、というか 「なるほどー」とうなってしまった と言う方が正しいかもしれません。
・特に印象深いのは -戦略とは経営者のもつ事業観またはそこから生まれる大局的判断だ (混沌とした日常の小さな判断の積み重ねに一貫性が浮かぶとすれば それは経営者の事業観が背後に控えるからだ) -理外の理 常識に潜む嘘の虚をつく妙理。
「ばかな」と「なるほど」 -プロフェッショナルな管理者≠経営者 などあげたらキリがありませんが。
・今後は、三品先生の本は出版されたら オートマチックに購入することになるでしょう。